オープンエデュケーションセンターフォーラム2018 開催報告

オープンエデュケーションセンターでは、3月8日(金)に高等教育推進機構S1教室で、オープンエデュケーションセンターフォーラム2018「オープンエデュケーションとの遭遇」を開催致しました。

今年度のフォーラムは、オープンエデュケーションセンターの活動によってこれまで「未知」であったオープンエデュケーションに「遭遇」してしまった(!?)教職員の生の声から、北海道および国内外におけるオープンエデュケーションの可能性と課題について議論することを目的として企画致しました。以下本フォーラムについて、概要をお伝え致します。

開催の言葉

 

フォーラムは、長谷川晃 高等教育推進機構長による開会の挨拶、そして松王政浩センター長の、「オープン」概念とは、実は教育が担ってきた「未知を既知にする」ことなのではないかという提起を以て開会しました。

 

センターの取組

フォーラムのメインパートでは、まず重田勝介副センター長から近年のオープンエデュケーション活動について紹介を行いました。そこでは米国における「オープン教科書の大規模導入」や「大規模公開オンライン講座(MOOC)開講による高等教育のショーケース」を例に、世界におけるオープンエデュケーションの現状を紹介し、センターの活動もそうした潮流の中に位置づけられることを示しました。

そしてセンターが提供するサービス、今年度の活動実績について概観しました。OER開発と利用実績は着実に増えており、毎年50以上の講義で400程度のOERが利用されています。また、教材を一般公開しているプラットフォーム「オープンコースウェア」では、467の講義 2198の講義ビデオを公開(2018.7時点)しています。この取組は優れた教材公開レポジトリとして評価され、2018年に Open Education Consortiumより「Open Education Award」を受賞しています。

スライド資料は こちら から閲覧できます。

 

事例発表

北海道大学におけるオープンエデュケーションと教職員の遭遇をテーマに、4つの事例紹介を行いました。

・事例1 科学技術コミュニケーションとMOOCs の遭遇
・事例2 実技実習とビデオ教材の遭遇
・事例3 医学部遠隔授業とELMS の遭遇
・事例4 海外連携プロジェクトとCEED の遭遇

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■ 事例1 科学技術コミュニケーションとMOOCs の遭遇

 

事例1ではOEセンターを構成するeラーニング部門と CoSTEP部門 が共同して行ったJMOOC開講講座「ようこそ、科学技術コミュニケーション」の実施について、川本思心副センター長と小林和也博士研究員が報告を行いました。MOOC開講に際してOEセンターのサポートを網羅的に紹介し、開講後の修了者のデータなどについても報告しました。

 

■ 事例2 実技実習とビデオ教材の遭遇

 

事例2では獣医学部、保健科学研究院の協力を得て作成された実験・手技の解説動画を制作した事例を重田勝介副センター長と田中宏明特定専門職員が紹介しました。実験や手技の実演をeラーニング化することで復習の機会を提供し、学生の質を評価するための実技試験対策が可能な学習環境の構築を目指して動画の制作が行われたのですが、そうした要求に耐えうる高品質の動画を制作するために撮影・編集技術や工夫点についてのプレゼンすることで、現時点でのセンターの技術的な実力を紹介できたと思われます。

 

■ 事例3 医学部遠隔授業とELMS の遭遇

 

事例3では、医学部小林弘一教授が担当している免疫学講義での授業サポートについて、濱野吉仁特定専門職員が報告を行いました。ハーバード大学・メディカルスクールをはじめとした米国の大学に所属する講師による遠隔授業のサポートの他、チーム基盤方学習法を取り入れた授業運営の全般的なサポートを、センターの管理するELMSの諸機能を用いて実施したことを報告しました。ELMSを用いて先進的な授業を紹介することで、ELMSの可能性を示すことができたように思われます。

 

■ 事例4 海外連携プロジェクトとCEED の遭遇

 

事例4では、世界展開力強化事業「持続可能な輸送システムと社会インフラ構築のための国際共同研究力育成プログラム」(STSIプログラム)において、工学部での行われているインド工科大学との交換留学をサポートするeラーニング教材開発の取組について、工学系教育研究センター(CEED)の小林幸徳センター長に報告いただきました。STSIの取組紹介の他、テレビ会議システムを用いた、時差のある中での遠隔講義の実施などCEEDによる技術的なサポートについても紹介がありました。

 

教材改善見本市

休憩所も兼ねたS5教室では、昨年に続いてELMS、著作権処理、映像教材制作、CEEDの業務紹介を行う教材改善見本市を催しました。今年は今年度センターが取組んだ27事例すべてについてポスター展示を行いました。

特別招聘:OEBI調査員

さらに展示だけではなく、「オープンエデュケーション調査局(通称:OEBI)」から派遣された「調査員」が客観的な視点から評価・検証するという趣向で、いくつかの事例に対し、ゲストからコメントをいただくというコーナーを設けました。「OEBI調査員」として 京都大学高等教育研究開発推進センター の酒井博之准教授、岡本雅子特定助教にご協力いただきました。お二人ともオープンエデュケーションの専門家であり、特にeラーニング開発の量について高評価をいただきました。

 

他にも、それぞれのポスターに調査員のコメントを記していただきました。今後の業務遂行について様々な示唆を得ることができました。

 

ミニセミナー

OEBI調査員のお二人が、さらにセンターにおけるオープンエデュケーションの取組を調査するという趣旨のもと、OECの業務やサービス、教材制作における留意事項などについて、実務担当者によるミニセミナーが実施されました。

・教育情報システム“ELMS”概要説明
・オープン教材と著作権処理について
・ビデオ教材制作について
・CEEDについて

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パネルディスカッション

教材見本市の後で再びS1教室に戻り、事例4の紹介を挟み、本フォーラムの総まとめとしてパネルディスカッションを行いました。

パネラー
京都大学高等教育研究開発推進センター
酒井博之准教授
岡本雅子特定助教
工学系教育研究センター
小林幸徳教授
北海道大学オープンエデュケーションセンター
松王政浩教授
川本思心准教授
重田勝介准教授

ゲストである「OEBI調査員」のお二人が27事例に記していただいたコメントを始めとして、来場者から集められた質疑を端緒に、パネラーの他、実務に関わっているスタッフも交えて忌憚のない、有意義な意見交換が行われました。事例に対するコメントや質疑の他、オープンエデュケーションを広げる活動を行うための組織・人材の育成についても議論が及び、今後のセンターの活動のヒントが得られました。